電源とモータの選定
電源の接続
STEP400で使用可能な電源
STEP400にはDC12Vから72Vまで入力可能です。この電圧は直接モータドライバに供給されます。また基板上で5Vと3.3Vに降圧されて制御電源に使用しています。 USB端子にPCなどを接続した場合は制御電源のみ供給されます。必要な電源の定格は、使用するモータの種類や数、駆動電圧によって異なります。
電源端子
STEP400にはDCジャック(4)と、ねじ式端子(5)の2種類の電源端子があります。

DCジャックは
- 外径5.5mm
- 内径2.1mm
- センタープラス
のコネクタが適合します。DCジャックの定格は24V5Aです。それを超える電圧および電流で使用する場合は、ねじ式ターミナルを使用してください。
ねじ式ターミナルは、基板端面から見て左がマイナス、右側がプラスの端子です。各端子のねじ径はM3です。直接ケーブルの芯線を締めこむこともできますが、専用の端子を使うとより確実に接続できます。 適合する端子の例としては以下のものがあります。
- ニチフ TMEX1.25-3N
モータの接続
モータの選定
STEP400はバイポーラ型ステッピングモータで、相電流が5A程度以下のものが使用可能です。 いくつかのモータについて、実測した値から割り出したレジスタ値の例を、configツール用ファイルの形で公開しています。
https://ponoor.com/docs/step400/settings/example-parameter-values-for-example-steppers/
今のところ少数の例しかありませんが、今後数を増やしていきたいと思います。
接続端子

基板上は3.81mm(0.150インチ)ピッチのヘッダ(ユーロスタイル・ターミナルブロック)になっています。嵌合するコネクタには以下のものがあります。
- TE Connectivity AMP Connectors 284507-4
- Ningbo Kangnex Elec WJ15EDGK-3.81-4P

接続端子は、左から順に A1, A2, B2, B1 です。A1とA2のペアに一つのコイル、B1とB2のペアにもう一つのコイルがつながるようにします。ペア同士が入れ替わったりペアの中で配線が逆になると、モータ回転方向が逆になります。基板全体で接続ルールが統一されていると使用時に便利です。
電源とステッピングモータの定格の関係
モータのインダクタンス
ステッピングモータの内部の巻線は、インダクタンスとして振る舞います。インダクタンスに電圧をかけてもすぐには電流が流れずに、時間をかけて電流が立ち上がります。ステッピングモータのように、ステップごとにON/OFFを繰り返す場合は、回転数が上がってくるとONの時間が短くなり、十分に電流が流れなくなってきます。ステッピングモータのトルクは、電流にほぼ比例していますので、高速に回転すると最大トルクが低下します。
電源電圧
このインダクタンスに打ち勝ってモータに電流を流し込むには、できるだけ高い電圧の電源を使う必要があります。モータのデータシートを見ると、定格電圧として非常に低い数値が書かれていることがありますが、モータを回転させるとその電圧で必要な電流を流すことはできません。実際にはその何倍もの電圧が必要です。 実際に必要な電圧はモータの定格や必要な回転速さ、負荷によって大きく変わりますが、大雑把には
- NEMA17サイズまで:24V
- NEMA23サイズ以上:48V, 高回転の場合は72V
といった印象です。とは言ってもモータによっては小さなサイズでも高トルクが出せたり、逆に大きなサイズでも電流があまり流せないものもありますので、定格を確認することが重要です。STEP400はDC12Vでも動作しますが、DC-DCコンバータの動作電圧の下限に当たるため、モータを回した瞬間の突入電流によって電源装置からの配線で電圧降下が発生し、STEP400がリセットされてしまうことがあります。小型のモータを低トルクで回すような場合以外はおすすめしません。

この写真ではSTEP400に24Vの電源を2台直列に接続し、48Vで駆動しています。
電流容量
電源が供給できる電流も重要な要素です。脱調した瞬間に大きな電流が流れることがあり、電流容量に余裕がないと、電源側で保護機能が働いて電源が落ちてしまうことがあります。小型のモータを低速で回している場合は数アンペアの電流容量でも回せますが、大型モータを動かす場合や高速回転させる場合は10Aから20Aといった容量が必要なことが多いです。モータの個数や動かし方、電源装置側の保護回路の仕様などによって変化するため、できる限り余裕をもって選定してください。